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創立120周年記念事業実行委員会長の挨拶 |
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岐阜農林高等学校は、ここに創立120周年を迎えられたことを心よりお祝いを申し上げ、皆様とともに喜びを分かち合いたく思います。この120年の長きに亘り母校の発展にご尽力をいただきました先生方をはじめ、県教育関係者の皆様、また日頃より何かとご協力ご支援いただいております同窓会員の皆様に心より感謝と敬意を表し、御礼を申し上げます。
我が母校は明治33年(西暦1900年)に岐阜市加納に岐阜県農学校として創立され、その後は県立北方高等学校となりましたが、昭和26年に農業科の単独校となり校名も岐阜農業高等学校と改称、翌年には岐阜農林高等学校となり現在に至っております。
歴史と伝統を誇る母校は前身校から現在に至るまで一貫として農業教育に徹し、「不撓不屈」の精神を構築しこの伝統が先輩から受け継がれてきました。約25000名の優秀な卒業生を世に送り出し、農業自営者をはじめ、政界、官界、農業関連産業に活躍されていることは大変喜ばしく、その120年の歴史の重さを強く感じます。
母校の正門に立ち本館校舎を見上げると、岐阜農林高等学校の歴史と伝統を改めて誇りに思います。現在ここに学ぶ生徒諸君が勉学と部活動に頑張っている姿を見ると、本当に頼もしく思えます。農業実習と研究成果等が新聞で紹介されるなど、農業を中心に地元地域とともに学ぶ心は本当に輝かしいものがあります。体育系文化系部活動では岐阜県下は基より全国にその名を轟かせる活躍をし、目覚ましいものがあります。その卒業生も母校の名誉と誇りをもって各界で大活躍をしてくれていることは大変うれしく思います。
最近国内において大震災をはじめ、豪雨や台風による災害が多発し国民生活に大きな影響を与えています。特に近年は新型コロナウイルスが蔓延して日本経済も今まで経験したことのないような大混乱を生じ、我々の生活リズムを大きく狂わせています。しかしその中にありながら食に対する見方も見直され、農業の大切さも再認識されています。この時だからこそ我が母校は農業高校であるがゆえに、農業生産から加工流通までしっかりと学習して、日本の食料供給を担う人材を育てなければならないと感じております。
岐阜農林高等学校が創立120周年の一つの節目を迎えましたが、今後さらなる発展を目指し「不撓不屈」の精神を引き継ぎ、変わらぬ学びを続けてほしく期待しております。
この120周年に当たり何かとご尽力をいただきました学校関係者の皆様、同窓会員の皆様に改めて御礼を申し上げます。母校の発展と皆様方のご健勝ご活躍を祈念しご挨拶といたします。
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創立120周年記念事業 |
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(1)正門門扉・周辺整備事業
令和4年9月5日(月)に120周年記念事業として整備した正門の竣工式を行い、生徒や卒業生、教職員ら60名が新しい顔の完成を祝いました。
正門はアルミ製で、高さ90cm幅9mで、昭和造園土木(岐阜市)が施工しました。
式では120周年記念実行委員会の大西隆委員長は、「学業に励む生徒の姿を誇りに思い、伝統ある母校の発展を願う」と挨拶。生徒会長の3年食品科学科の田代航也さんは「新しい正門で気持ちよく朝の一歩を踏み出せる」と謝辞を述べました。
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(2)体育館ステージ幕一式
平成30年度体育館改修工事の際に、ステージ幕一式として「袖幕」を新調しています。
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(3)創立120周年記念式典挙行
令和4年10月1日(土)に創立120周年記念式典を本校体育館にて開催し、歴代校長やOB、在校生ら約440人が体育館にて、また、新型コロナウイルス感染対策として代表生徒以外の生徒は各HR教室にてオンラインで映像を見ながら120年という節目を祝いました。
創立120周年記念実行委員会の大西隆委員長は「校訓の『不撓不屈』の精神を引き継ぎ、変わらぬ学びを続けて欲しい」、田広彦校長は「地域と共にある学校づくりに尽力したい」と挨拶しました。
歴代の校長や同窓会長、育友会長に感謝状が贈られました。また、記念事業で整備した正門門扉・周辺整備事業や体育館ステージ幕の目録の贈呈のほか、多額の寄付を頂いた桂川裕成氏(昭和13年林業科卒)・桂川幾郎氏が特別功労者として表彰されました。
生徒代表として挨拶した3年食品科学科の田代航也さんは「コロナ禍の困難にあっても歩みを止めることはない」と述べました。そして、最後は吹奏楽部による演奏にてしめくくられました。
式典の後には、放送部が制作した「120年の軌跡」と「校歌斉唱」を上映しました。この動画は本校同窓会ホームページで紹介されていますので、是非ご覧ください。
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(4)記念誌発行
創立120周年を記念して、110周年記念誌が発刊された平成22年度から創立120周年を迎えた令和2年度までの11年間の記録を掲載しています。
記念誌は70周年・80周年・90周年・100周年・110周年と発行されていますので、6冊目の記念誌となります。
(5)記念グッズ製作
フェイスタオルのデザインには、120周年記念事業のキャッチフレーズ「〜未来へつなぐ120年の伝統と歴史〜」(3年食品科学科の河田沙夜さんと今井楓子さんが考案)と、3年生物工学科の吉田佐羽さんが製作した記念事業のロゴマーク@が入っています。
クリアファイルには、2年森林科学科の増井弘美さんが製作した記念事業のロゴマークAが入っています。そして、120周年を刻んだティースプーンの3つが記念品として生徒、職員、記念式典の参加者に配布されました。
(6)課題解決型生徒記念研究
生徒が取り組む課題解決型の探求活動を支援し、生徒の主体性・探求心の向上を図りました。
(7)120周年PR活動事業
同窓会ホームページを活用し120周年記念事業のPRに努めてきました。トップページに動画を入れるなど、多くの方に関心をもって見て頂けるよう工夫をしました。
(8)記念芸術鑑賞
令和4年11月1日(火)本校体育館にて、ライブ音楽と大画面の映像、スライドと語りを組み合わせた桑山紀彦さんのステージを鑑賞しました。新型コロナウイルス感染症予防のため、午前と午後の2回に分けて観覧席の間隔を空けての鑑賞でしたが、地球規模でのスケールの大きな語りが印象的でした。
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(9)記念研究の助成事業
流通科学科
「にじのきらめきプロジェクト」
北方町の米農家は近年の夏の高温による「コシヒカリ」の品質低下、減収に苦慮していました。対策として国の研究機関(農研機構)が育種し、高温耐性が強く多収で良食味な新品種「にじのきらめき」に切り替える決断をしました。しかし農家の皆さんは初めての品種に不安を持っていたため、私達が農家に先駆け試験栽培を行い、結果を共有し、農家の皆さんに栽培指標を示すための研究を始めました。
120周年記念助成金から支援をいただき、生育特性、作型、多収性の確認と、毎年課題を持って研究してきました。今後も、農家と共に地域農業の発展のための研究を進めていきます。
園芸科学科
「文字入りメロン製作」
園芸科学科では温室メロンを隔離土耕で栽培して、地域の方に好評をいただいております。120周年をお祝いするため、この温室メロンを「文字入りメロン」にしようと考えました。玉はげ期に釘で文字を一つ一つ入れていきます。深すぎるとメロンがカビてしまいますし、浅すぎると文字が出ないということで、適切な文字のサイズと深さについて事前研究を行った後、本番の文字入りメロン製作に取り組みました。また箱のデザインや、シールについても改良を加えました。最終的に、糖度とサイズの良い理想的なメロンを作ることができ、家庭用、贈答用にと地域の方々に大変好評でした。
動物科学科
「ET研修会」
科目「畜産」「動物バイオテクノロジー」の中で繁殖生理、特に胚(授精卵)移植(ET)に関して学びます。この技術を利用すると、優秀な牛の受精卵をそれほど能力の高くない牛でも移植して産ませれば優秀な牛の子牛が得られ、牛群内の改良を早めることができます。通常では実際に受精卵の回収までの作業を生徒が見ることはできません。プロジェクト学習でも繁殖成績の向上を目指して取り組んでいますが、栄養管理以外に繁殖技術で生産性を向上させる方向としての技術の導入を考えるために、この事業を活用させていただきました。今後も岐阜県で唯一の乳牛を飼育する高校として技術の向上に努めます。
森林科学科
「廃菌床の再利用」
森林科学科では、シイタケの菌床栽培をしています。菌床栽培農家の課題が、栽培後に出る大量の廃菌床です。堆肥化し田畑に撒いたりと利用法はありますが、堆肥にするための環境が整っていなかったり、住民からの匂いのクレーム対応で高額な運搬費、処理費をかけて焼却されたりするのが現実です。そこで私たちは、処分する菌床をもう一度再利用し、新たに菌床として再利用できないかを研究しました。その結果、ヒラタケで十分な収量を確保でき、課題解決に向けた大きな一歩となりました。
今後も企業や地域と連携し、コスト削減と環境配慮に向けた取り組みをしていきたいと思います。
環境科学科
「食料生産と生物多様性保全の両立」
食料の生産性を優先すると生物を保全しにくくなり、逆に生物保全を優先すると生産性が低下するという課題があります。私たちは、いかに農家の負担を小さくし、生物保全の効果を最大化できる農法を確立したいと考えており、水田に魚道と江を設置したときの保全効果を検証しています。今年度は、江と魚道を併設すると魚類や両生類、水生昆虫類に対して、繁殖期間が延長する効果、中干しなどの落水に対して水域の分断を回避する効果、越冬場所を提供する効果があることがわかりました。
食品科学科
「創立120周年記念マドレーヌの製造」
食品科学科では、創立120周年を記念して地域に感謝の気持ちと地元食材の魅力を伝えることを目的としたマドレーヌの製造に取り組みました。原材料は地産地消にこだわり、北方町産の小麦粉「タマイズミ」や本校動物科学科の鶏卵、県産の蜂蜜を使い優しい甘さに仕上げました。
また、3年生がデザインした校章入りの焼き印を制作しました。120の部分に校章をあしらい、創立記念をお祝いする気持ちを伝えることができました。このマドレーヌは式典で来賓の方に配布したほか、校内販売所の「のうじょうくん」でも販売し、地域の方にも大変好評でした。
生物工学科
「アボカドの産地化について」
岐阜の特産品である富有柿は地球温暖化の影響による富有柿の色の品質低下が心配されています。そこで、今後温暖化した岐阜の気候に適した農作物として需要も見込まれている亜熱帯果樹アボカドの栽培試験を行っています。
挿し木・接ぎ木による苗生産と苗の越冬対策が主たるテーマですが、120周年記念研究の助成金を、この試験に必要な国産アボカド苗の購入と栽培するためのポリ鉢・培土などの園芸資材の購入に充てさせて頂きました。越冬した苗の移植は6月頃を計画していますが、今後助成金で購入した資材を用いて図書情報棟南を整備し、アボカド苗の生産を行っていきます。 |
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同窓会役員総会 |
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令和4年10月1日(土)、同窓会総会として同窓会の理事が百年記念館に集まり開催されました。物故者黙祷、大西隆同窓会長あいさつ、田広彦校長のあいさつと続きました。その後、第1号議案として令和3年度事業報告並びに収支決算書の承認、第2号議案として令和4年度事業計画並びに収支予算案が承認されました。
新型コロナウィルス感染対策のため、令和2年度は理事による役員総会、令和3年度は紙面開催、令和4年度は理事による役員総会となりましたが、令和5年度の総会、「コロナ前」と同様の同窓生を集めた総会が開けることを全員で願いながら閉会しました。
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